『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』開発者日記#1 - ワンダーランズへようこそ

オーバーワールドの探索や敵との遭遇などについて開発者からの裏話をご紹介!

本作のクリエイティブディレクターであるマット・コックスは、目まぐるしく変化する風変りな世界を生み出す上で、いかにしてティナの奔放なエネルギーから影響を受けたかについて次のように語っています。「きっと私たちの中にティナが存在しているんです。私たちのチームの根幹は、クリエイティブであることです。ですから、“これは現実のシナリオだから非現実的なことはできない”といった縛りは設けたくありませんでした。作品づくりにおいて、そのような縛りがないということはとても素晴らしいことです。ティナの世界を生みだすことは、それほど難しいことではありませんでした。というのも、私たちが目指していたクレイジーでカオスな世界は、すでに私たち自身の中に存在していたからです。彼女こそまさに純粋な“カオス”なのです」

記念すべき第1回目を迎えた『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』開発者日記シリーズでは、バンカーマスターの裏側をのぞきながら、予測不可能なティナの冒険を生みだした開発者たちの姿に迫ります。今回は、このカオスなファンタジー作品がどのように生まれたのか、本作のベースとなる要素についてマットに話を聞いてみましょう。

仲間と一緒に冒険しよう

ファンタジー要素、たくさんのドラゴン、そして時々登場する巨大なダイスから想像できた方もいるかもしれませんが、『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』は私たちが友人や家族と一緒に楽しむようなボードゲームから大きな影響を受けています。ボードゲームでは、仲間と共にボードを囲み、語り手によって語られる英雄的な行動や恐ろしい敵、卑劣な悪党に思いをはせるというなんとも不思議な体験を味わうことができます。

ワンダーランズでの冒険では、バンカーマスターとしてのティナの話がメインになりますが、ボードを囲む仲間であるバレンタインやフレッテの話もたくさん含まれています。もちろん、マルチプレイの仲間は多ければ多いほど楽しくなります。本作では最大4人の冒険者と共に、協力もしくは対戦プレイをお楽しみいただけます(プレイヤー間では戦利品が共有されるほか、なんと盗むこともできます)。

このことについて、マットは「ボードゲームの醍醐味のひとつは、友達と一緒に遊べることです。『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』では、その醍醐味を活かしたいと考えていました。そのためには、ボードを囲むキャラクターのセリフや演技が重要になってきます。プレイしている時に繰り広げられる会話こそが、より楽しいプレイ体験をもたらしてくれるのです。なので、本格的にゲームを始める前に、ボードの上でどんなことが起こっているのかを可能な限り知っておくことが重要です」と話しています。

本作では、冒頭でティナがフェイトメーカーのキャラクターシートを作成するように勧めてきます。フェイトメーカーとは、チープ・スタリオン女王のために戦うことを運命づけられたカスタマイズ可能な勇者です。もちろん、カスタマイズできるのは外見だけではありません。プレイヤーは狡猾なスタボマンサーや氷を操るバー・ザーカーなどのクラスを選択し、勇者ポイントを使用して生存能力や魔法の詠唱などのステータスを強化していく必要があります。「本作では、ゲームの中で自分を自由に表現できることを目標の一つとしています。そこで、自分だけのキャラクターを作っているという感覚を味わってもらえるように、勇者ポイントの割り当てやキャンペーンの後半で解放されるマルチクラスなどを含む豊富な選択肢を用意しました。これもボードゲームから得た大きなインスピレーションだと思います」とマットは言います。

オーバーワールドについて

本作ではもう一つのボードゲームらしい特徴として、序盤にオーバーワールドが登場します。ここでは三人称視点・俯瞰視点でキャラクターたちが表示され、ティナが作った綿密なボードゲームの上を走り回ります(無造作に散らばるポップコーンや、ひっくり返った缶から流れ出ているソーダの川は気にしないで下さい)。フェイトメーカーの英雄たちも、ボードゲームの世界で動きまわるミニチュア人形のように、可愛いらしい小さなサイズで登場します。

「オーバーワールドの世界観を実現させるために、さまざまなアイデアを検討しました。キャラクターをボードの上で前後左右によろよろと動くアニメーション付きのフィギュアのようにすることも考えましたが、最終的にスケールにとらわれない、誇張されたワンダーランズらしいバージョンというアイデアに落ち着きました。そのため、キャラクターの顔のカスタマイズに力を入れ、表情が目に見えやすいように調整しています」

こうして、オーバーワールドのフェイトメーカーのチビキャラのようなイメージにたどり着いたとマットは話します。「カメラが遠くにあるため、“頭を大きくしてボブルヘッドフィギュア風にしよう!”と考えました。その時、“このクールなボブルヘッドフィギュアならアニメーションを付けても似合うだろう”ということに気付いたんです。また、頭部を大きくするに伴って、周囲の環境の外観やティナがボードを片付けずに置きっぱなしになっている現実世界のアイテムのスケール感を含めて調整してみたところ、すべてがかみ合って満足のいく相乗効果をもたらしてくれました」

オーバーワールドで自由に冒険しよう

オーバーワールドにいるフェイトメーカーの大きな頭に見慣れてきたら、ボード上のありとあらゆる場所をのぞいてみましょう。ダンジョンでのちょっとした出会いや金の詰まった宝箱など些細な発見もありますが、冒険者によっては完全に見逃してしまうような、任意で訪れることのできる追加エリアにたどり着くこともあります。 

こうした追加エリアは、一時的な気分転換だけのものではありません。追加エリアであるタングルドリフトサンファング・オアシスは広大で、複数のクエストラインが用意されています。マットによれば「この広大なマップは、メインクエストとは異なる独立したボードゲームのようなものです」とのこと。これらのエリアを攻略して充実したサイドクエストをこなすことで、より困難な試練に挑む前に力をつけることもできます。

他にも、オーバーワールドでは運のステータスを上げてよりレア度の高いアイテムを獲得できるラッキーダイスなどの隠しアイテムの獲得、必要な欠片をすべて集めるとパッシブボーナスを得られる神殿の欠片や、ワンダーランドの全体像を把握したいプレイヤーのために各マップに伝わるちょっとした伝承が記されている詩篇のページなども見つけられます(ブライトフーフの吟遊詩人が歌い上げてくれます)。さらに、ボード上に散らばるボトルのキャップをはじきとばすと便利なショートカットが使えるようになるので、オーバーワールドで後戻りする必要がある場合に移動時間を短縮することもできます。

もちろん、このような追加エリアを探索するために通常のルートから外れることには危険が伴います。草むらやジャングルの中を進んでいると敵が飛び出してくることがあり、接触すると一人称視点の銃撃戦になります。とはいえ、戦うような気分ではなかった場合は、敵にパンチをくらわせ忘却の彼方に吹き飛ばしてそのまま先に進むこともできます。

マットによれば「このようなランダム・エンカウンターで戦うかどうかは、プレイヤーが常に決定権を持っているので、実際にゲームの邪魔になることはほとんどありません。オーバーワールドでは、逃げ足が速くなったり、実際に近接攻撃をしたりもできます。ランダム・エンカウンターの敵が襲ってくる前に近接攻撃を行えば、敵は爆発するため戦わなくて済みます」とのことですが、実はもう一歩踏み込んで考えているようです。

「同時に私たちはこのランダム・エンカウンターにも意味を持たせたいと考えていました。プレイヤーが“戦利品を手に入れるチャンスだ!”と思えるようなものにしたかったんです。本作のランダム・エンカウンターは、まるでクリスマスや誕生日のプレゼントのように、“ああ、なんて素敵なサプライズなんだろう!”と感じられるようなものを目指しています。デザイン的に言うと、プレイヤーがランダム・エンカウンターから逃げるのではなく、戦いたいと思うものにするということです。そのため、本作ではランダム・エンカウンターが邪魔になってしまうという感覚を無くすために、様々な工夫を加えています。」

これぞ魔法だ!

『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』では、増え続ける銃のコレクションに加えて、ダメージを最大化するために魔法を使うことが重要になります。ほとんどの魔法はクールダウンが短く、指先から頻繁に放つことができます。敵を炎で焼き尽くしたり、小さな竜巻で吹き飛ばしたりと、短時間で相手を倒すことができる魔法もあれば、自分や仲間の防御力を少しだけ上昇させたり、クールダウンを減少させるなど、補助的なものもあります。 

「魔法を使って楽しむという点で、チームのみんなは素晴らしい仕事をしてくれたと思います。『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』では、バランスを考慮する前に、まずは楽しさを追及することを重視してきました。もちろんバランスが重要でないということではありませんが、楽しさを前面に出した方がプレイヤーの皆さんにも楽しんでもらえると思います。魔法の中でも、特にレジェンダリー魔法はそういったことを意識しています。まずはみんなでクレイジーなアイデアを出し合い、それからレア度のバランスの中で最適な位置を見つけていきました。」 

マットが戦場で使いたい魔法は何でしょうか?「コンパニオンのクラスを使うのが好きです。他の様々なヒドラの魔法との相性も抜群ですし、小さなヒドラを地表に召喚するところもいいですね。ヒドラが放つ攻撃は、可愛い見た目に反して強力です。ペットのクラスに加えて、魔法でたくさんのヒドラが活動しているのを見るのはとても楽しいです。」

斬って、刻んで、刺して、叩く

銃と魔法に加え近接攻撃によって、『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』の三大戦闘要素は完成します。右手に持つ銃や強力な魔法には劣りますが、銃撃の合間に近接攻撃を織り交ぜることで、より大きな効果が期待できます。

「私たちのシューティングゲームのスタイルを維持することは、非常に重要なことでした。私たちのスタイルは攻撃に焦点を当てており、積極的に戦うことを重視しています。そのため、近接戦闘においてはパリィなどの防御的なシステムを使わないことを意識しました。防御は悪いことではありませんが、私たちが求める戦闘に合うプレイスタイルではありません。また、近接攻撃が銃や魔法に取って代わるような形にはしたくありませんでした。この2つこそが、敵にダメージを与える主な手段だからです。」

剣や斧、巨大な木槌などの近接武器は、主な攻撃手段としてではなく、近くにいる敵(スケルトンの軍団など)を攻撃してひるませ、少しだけ戦闘に余裕を持たせるような形で使用してもらうことを想定しています。敵に囲まれている場合は、近接攻撃ボタンを押し続けることで連続攻撃を繰り出すことができます。また、攻撃の届かない位置にいる敵に近接攻撃を仕掛けると、前方に飛び出して距離を縮めるような移動攻撃を繰り出すことができるため、激しい戦いの中で体勢を立て直すために戦術的に使うこともできます。マットによれば「私たちは近接攻撃を使いやすいものにしたいと考えていました。1ボタンで簡単に発動できるものの、とても奥が深いアクションになっています。」とのことです。

優れた近接武器を集めていくと、中には射撃や魔法詠唱との相乗効果を発揮する強力な効果を持つものがあることに気づくでしょう。このことについてマットは「例えば、攻撃が成功するとアクション・スキルや魔法のクールダウンが短縮されたり、弾薬が戻ってきたりします。もしあなたがマルチクラスで勇者ポイントとパッシブを魔法と近接攻撃に振り分けているのなら、これらの効果を最大限発揮できるように、魔法のクールダウンを短縮する効果を持つ近接攻撃用の装備を選択するという手もあります。近接攻撃がサブウェポン的立ち位置なのは変わりませんが、これまでのシリーズよりもたくさん近接攻撃を使っていただきたいと思っています。」と話しています。

2022年3月25日(金)発売の『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』では、銃、魔法、近接攻撃を組み合わせた戦闘をお楽しみいただけます。それまでは、『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』ゲームガイドや開発者日記の新たな記事をチェックして、ワンダーランズでどのような冒険を繰り広げるか計画を練りながら備えましょう!